加齢性黄斑変性症について原因や症状、治療法についてご紹介します。
加齢性黄斑変性とは?
「加齢性黄斑変性」とは、加齢が原因で黄斑に障害がおこる病気です。
「萎縮型(いしゅくがた)」と「滲出型(しんしゅつがた)」の2種類のタイプに分けられます。
加齢性黄斑変性:萎縮型の特徴
加齢により黄斑に老廃物が溜まり、黄斑が徐々に萎縮していくタイプ。病状の進行が遅く、視力もゆっくり低下する。欧米人に多く、日本人には少ないタイプ。
加齢性黄斑変性:滲出型の特徴
脈絡膜新生血管が発生し、出血などにより黄斑が障害されるタイプ。進行が速く、急激に視力低下をきたします。(早期発見・早期治療が必要)日本人に多い。
加齢性黄斑変性の頻度
日本人では、 50歳以上の1.3%に生じることが分かっています。
加齢性黄斑変性の症状
加齢性黄斑変性では「ものがゆがむ」「見たいものが見えない」「中心が暗い、欠けていて見えない」などの症状が現れることが特徴です。
加齢性黄斑変性の原因
主な原因としては加齢によるものと言われています。また、以下のことも要因として挙げられています。
- 喫煙
- 太陽光
- 肥満
- 脂肪の多い食事
- 遺伝
- 高血圧や動脈硬化、心疾患
- 片目が加齢性黄斑変性症
加齢性黄斑変性の治療について
加齢性黄斑変性には、根本治療はなく、病気の進行を抑えるものでしかないため、やはり早期発見、早期治療が大切になります。
加齢性黄斑変性:萎縮型の治療
残念ながら現状では「萎縮型」に有効な治療法はありません。しかし、「滲出型」に移行数場合があるため、定期的な経過観察が必要です。
加齢性黄斑変性:滲出型の治療
原因となる脈絡膜新生血管の成長を抑制させる目的で、抗VEGF療法が行われています。
これは、目の中にあるVEGF(血管増殖因子といって新生血管を成長させたり、血液成分を漏れやすくする物質)のはたらきを抑制するもので、眼内に直接注射することで治療します。最初に3か月連続で毎月1回注射し、その後は状態によって追加注射をおこなっていきます。
「黄斑」はあくまで、「網膜の部位」をさす名前です。
黄斑には、いろいろな病気が生じます。例えば、「黄斑変性」、「黄斑上膜(=黄斑前膜)」、「黄斑浮腫」、「黄斑円孔」、「層状黄斑円孔」などがあります。これらは黄斑に生じる病気なので、必ず見え方の異常を呈します。しかし、それぞれ状態が異なるので視力程度・視力経過・治療法・加療による視力予後も当然異なります。
日頃、外来診察を行っていると、黄斑とつくだけで黄斑変性と思い込んでしまっている患者さんが非常に多いように感じています。
そんな患者さんは、当然失明の心配をされているのです。やはり、正しい診断と正しい理解が非常に大切です。心配であれば悩まず早期に眼科を受診してください。