院長コラム 『鼻メガネが、ダメな理由』2022.2.3

院長コラム『鼻メガネが、ダメな理由』

今かけているメガネが見えなくなってきたので、新しくしたいという方の中で、特にお子さんに多いのですが、鼻メガネになっている方がいます。


そもそも『鼻メガネ』とは、メガネの鼻側に付いている2つのパットが変形することで、本来メガネがあるべき位置を維持できず、メガネが鼻先の方にずり落ちてしまう状態のことを言います。


若い皆さんは知らないと思いますが、桃屋の『ごはんですよ』のお婆さんキャラクターを思い出すとわかると思います。上に添付してみました。ちょっと極端な例になりましたが、この状態が鼻メガネの典型です。


鼻メガネを見極めるポイントは、メガネレンズを上から上部、中央部、下部の3つの部分に分けたとすると、鼻メガネでは、角膜(以降、黒目とする)がレンズの上部にきています。


レンズは、レンズの中央部に瞳(瞳孔)がある時に最高の視力が出るように設計されています。


なので、黒目がレンズの上部にきているだけで、メガネの本当の力が発揮できない状態なのです。


また、鼻メガネの状態を横から覗いてみてください。角膜の表面とレンズとの距離がだいぶ離れていることに気づかれると思います。


この黒目とレンズとの距離のことを、眼科の専門用語で『角膜頂点距離』と言います。この角膜頂点距離は12mmが理想とされています。


近視の人のメガネの場合、この角膜頂点距離が長くなり、黒目とレンズの位置が離れれば離れるほど、メガネをかけた時の視力は低下してしまいます。せっかく度数が合っているメガネをかけてもハッキリ見えなくなってしまうのです。


以上のことからも、鼻メガネが良くないことが分かって頂けたのではないでしょうか。


外来診察でも、たまに持参されたメガネ度数があっているにも関わらず、そのメガネでの視力が出ていないお子さんがいらっしゃいます。そんな時、診察室に入ってきた時のメガネの位置を確認すると殆どが鼻メガネになっているのです。


こんな時は、メガネを替えるのではなく、メガネのパットの変形をメガネ屋さんで直してもらうようにお話するんです。それだけで見えるようになるからなんです。これって凄いことでしょう。


裏技として、近視の人のメガネの場合に限るのですが、レンズを黒目に近づけるようにしてメガネをかけると、理論的にはよく見えることになるんです。でも、この場合はメガネの作り替えをお勧めしています。度数が既に合っていないからです。


以上、今日は『鼻メガネ』について、お話しました。結構面白い話だったのではないでしょうか。
それでは、今回はこの辺でおしまい、おしまい。

『うれしい、楽しい、大好き、きっと上手くいく、ついてる』良い言葉を使って、自分も周りの人も幸せにしちゃいましょう。

今日も一日いい日になりますように。