院長コラム 『子供にスポーツをやらせることとは』

『子供にスポーツをやらせることとは』

 

皆さんは、読売巨人の4番、大リーグのヤンキースと華々しい野球人生を送った松井秀喜のことをご存知でしょうか。

 

 

1992年の第74回全国高校野球選手権大会の2回戦、明徳義塾高校と星稜高校の試合で、松井秀喜は5打席連続で敬遠されて、当時大きな注目を浴びた野球選手です。

 

 

一度もバットを振らずに甲子園を去ったことで、ホームランバッターとして名の知れた松井秀喜は更に有名になりました。記憶に残る甲子園のシーンでした。

 

 

松井秀喜が凄かったのは、試合後のインタビューでのコメントでした。試合後、5打席連続敬遠に関して次の様に答えています。

 

 

『敬遠をされたことよりも、チームが負けたことがずっと悔しかった。もっと試合がしたかった』

 

 

その後に語った言葉かもっと凄いんです。

 

 

『自分でコントロールできないことに関しては、受け入れるしかない』

 

 

とても高校生のコメントとは思えない言葉の力と思慮深さを感じるコメントでした。

 

 

先日、ある事をきっかけに松井秀喜とお父さんの松井昌雄の著書『父から学んだこと、息子に教えられたこと』を読む機会がありました。その中で中学校時代の野球部のことが書いてあります。

 

 

当時、松井は根上中学校という名の知れた野球部で、中学生にして既に注目されていました。ある試合で、相手チームは松井を打たせなければ勝てると思ったのかフォアボール攻めにします。

 

 

頭にきた松井は相手ピッチャーを睨みつけ、バットを地面に叩きつけ一塁に向かおうとした時、コーチの激しい罵声が飛んできます。声と同時に松井はコーチに張り倒されるのです。

 

 

コーチは言います。『おい松井、今の態度は何だ、敬遠もルールの一つなんだぞ。そんなふて腐れた態度をとるとは何事だ』と。

 

 

その後、松井はフィールドでは怒ったり恨んだりといった私的な感情をむき出しにしてはいけないことに気がつき、勝利に向かう目的をもったチームのためには決してプラスにはならないと悟り、二度としないことを心に誓ったんだそうです。加えて松井は決して人の悪口も言わなくなったんだそうです。

 

 

甲子園の5連続敬遠のときには、既に心構えができていたんだそうです。なので、チームの負けに対してのみ悔しがり、5連続敬遠に関しては作戦であり、自分にはどうにもできないこととして、素直に受け入れるという冷静な態度をとることができたのです。

 

 

テレビで高校球児を見るたびに、高校生にしてはみんな大人びた顔をしていると思っていましたが、今回の本を読んで野球というスポーツが身体だけでなく精神も鍛える結果なんだと納得しました。

 

 

子供にスポーツをやらせると良いというのは、親でない他人に指導を受けながら、人生を学ぶ良い機会が得られるからなのではないかと思いました。そこで親は完全に指導者に任せることなのかもしれません。

 

子供はそうやって親の知らない所で、親のみでは教えられない人生の厳しさを他の指導者から学んでいくのかもしれません。人との出会い、指導者との出会い巡り合わせが、子供の人格を作る大切な要素になるのだと思いました。

 

 

やっぱりスポーツはいいです。

 

 

『うれしい、楽しい、大好き、きっと上手くいく、ついてる』良い言葉を使って、自分も周りの人も幸せにしちゃいましょう。

 

今日も一日いい日になりますように。